私たち「加太・友ヶ島環境戦略研究会(Kada Tomogashima Institute for Environmental Strategies:Katies)」は、和歌山にある無人島「友ヶ島」、およびその対岸の漁師町「加太」を拠点に、大阪湾の海洋ごみ問題と流域ガバナンスの改善に取り組む専門家集団です。役員メンバーは研究者、弁護士、加太の住民代表などで構成されています。
海洋ごみ問題は以前から日本にとって大きな問題であり、その実態を把握するための各種調査が行われてきました。しかしながら、その解決は容易にはいきません。その理由のひとつは、海洋ごみの出所が広範囲に渡ることです。
例えば藤枝らは、大阪湾を含む瀬戸内海の漂流・漂着ごみの流入量のうち、約70%は陸域起源であると推定しています(藤枝2010)。山、街中、田んぼ、河川敷等々の陸域でポイ捨てされたり、風で飛ばされて散乱したりなどしたごみが、河川を通じて海に流れ下っているのです。
さて、大阪湾の南側は、紀淡海峡を経て、紀伊水道を通じて太平洋へとつながっています。この紀淡海峡に位置しているのが友ヶ島です。すなわち友ヶ島は、大阪湾にフタをする位置にあるのです。
そのため、大阪湾由来と思われる海ごみがたくさん流れ着きます。これまで我々が発見した漂着ごみの中にも、明らかに大阪湾流域の都市部が発生源と考えられるものが散見されています。
私たちはこの友ヶ島に、大阪湾の海洋ごみが集中的に分布すると考えました。つまり、友ヶ島のごみは、大阪湾の海洋ごみの状態を映す鏡になると捉えたのです。そこで、友ヶ島の現状をまずは正確に把握し、そこから大阪湾流域全体での問題解決に取り組んでいこうとしています。
海洋ごみ問題は、科学の力だけで改善できるものではなく、問題解決に向けては多様な利害関係者の相互理解と連携が不可欠です。そこで私たちは、これまでも和歌山市や加太の事業者団体、大阪湾流域の企業といった、地域アクターとの密接な連携のもとで活動に取り組んでいます。今後も研究機関はじめ、行政や公的機関、企業、そして市民・地域住民といった多様な主体が、互いに交流しながら理解を深め合い、協働していくためのプラットフォームの役割を果たしたいと考えています。

代表メッセージ

これまで人間は、様々な壁を作ってきました。
それはしばしば、異質な複数のものを仕切り、隔てるために作られてきました。東西ドイツのベルリンの壁、メキシコとアメリカの国境壁などがそうです。あるいは隔てられることで、本来つながっていたはずのものが分断される効果も生まれます。

さて、私たちの日本は海の国です。古来より海の恵みを受け、あるいは海に呑まれながら、経済と文化を作り上げてきました。
しかしながら、いま日本中の海岸には、ごみでできた壁があります。
この壁が分断するものは、生態系の連関であり、自然と人間の連関です。

生態系は空間に制約されますが、経済活動は空間に制約されることなく肥大化します。肥大化した経済は、生態系との連関を失い、ひいては生態系同士の連関をも切断します。
海洋ごみ問題に限らず、あらゆる環境問題に同じ構造が見て取られます。

私たちは、波打ち際に高々とつくりあげられた「ごみの壁」を壊し、人間と自然のつながりを取り戻すことを目指します。エビデンスベースを前提とし、テクノロジーを積極的に取り入れつつ、一方で住民知と科学知の融合を目指し、行政や企業といった多様な社会アクターと連携します。様々なアクターの知識と技術と想いが協奏し、壁の破壊とつながりの創造が実現される日を想って、一歩ずつ問題解決に取り組んで参ります。

2020年7月1日 代表理事 千葉知世

法人概要

一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略研究会
(KATIES : Kada Tomogashima Institute for Environmental Strategies)
住所:〒640-0103 和歌山県和歌山市加太1067
代表理事:千葉 知世
設立日 2020年7月1日

メディア掲載

事業実績

2020年度

  • 環境省 様「令和2年度 マリンワーカー事業(瀬戸内海国立公園(和歌山県地域)における海岸漂着ゴミ調査等業務)」
  • 和歌山県 様「令和2年度 和歌山県海岸漂着物組成調査業務」

2021年度

  • 環境省 様「令和3年度 グリーンワーカー事業(瀬戸内海国立公園(和歌山県地域)における海岸漂着ゴミ調査等業務)」
  • 大和川水環境協議会大阪府域連絡会 様「大和川・石川プラスチックごみ調査&クリーンアップ大作戦!Let’s MIGO in ふじいでら」
  • 大和リース株式会社 様「令和3年度 泉南りんくう公園海岸漂着物調査事業」
  • 和歌山県 様「令和3年度 和歌山県海岸漂着物組成調査業務」

年次報告書

2021年度

※画像をクリックするとPDFが開きます。

一般社団法人 加太・友ヶ島環境戦略戦略研究会
年次報告書2021 「未来の海を考える」

一般社団法人加太・友ヶ島環境戦略研究会の活動の一部は、地球環境基金助成金を受けて行っております。

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